中村先生のレッスンも本日で終わりということで、私はいつもと
     違って、心なしか重い足取りでレッスン室に入ったのでした。
     今日は2月からレッスンに戻って来られる谷上先生が入ると
     聞いていましたが、来られておらず、最後のレッスン前の
     楽しいひと時を過ごすことができました。先生にこの前の
     発表会の様子を録音したものをCDRにしたものと最近気に
     入っているフランスのロニー・アルドリッチ楽団のCDを
     渡して、よろしかったら聞いてください。「ホフマンの舟歌」
     がお勧めですと言いました。そのあと1月20日に行われた
     先生のライヴ演奏についての感想を述べ、また行きます
     と言って締めくくりました。
     それから30秒もしないうちにIさんがレッスン室に入って
     来られました。私はそれぞれの譜面台の上に私が発表会で
     やってみたいと希望したロンドンデリー・エアの2重奏の譜面が
     置かれてあり、なんでかなと思っていましたが、全員が揃った
     ところで、中村先生は、今日はテキストを少しだけして、
     そのあとロンドンデリー・エアをしましょうと言われました。
     ロングトーンの練習をした後、F♯ Major Scale の音階練習、
     CHAPTER18の最初のExerciseをしましたが、愛の挨拶と
     花のワルツの練習ばかりしてきて、しかも今回はレッスン前の
     練習をまったくしなかったので、手も足も出ませんでした。
     中村先生はそれを見かねてか、笑顔で、それでは、ロンドン
     デリー・エアをやりましょうと言われました。
     どちらのパートをされますかと中村先生が尋ねられたので、
     私はすかさず、この曲はどうしてもメロディーをしたいですと
     言いました。先生はうなずかれ、それじゃあ、FさんとBさんが
     ファースト、NさんとIさんがセカンドをやってください。最初に
     ファーストが吹いてみてくださいと言われました。







     それからあとはしばしば先生を見つめながら、大好きな旋律を
     吹いていましたが、Bさんはもちろんセカンドのおふたりも
     理想的な演奏をされたので、録音すればよかったなと思いました。
     あっという間に30分の時が流れ、ロンドンデリー・エアのレッスン、
     中村先生の最後のレッスンは終わりました。先生は、楽譜は
     残しておいて、またたまに吹いてくださいねといわれたので、
     私はこの中村先生のレッスンを思い出すためにこの曲を
     吹こうかなと思いました。
     レッスン後、後片付けをしながら談笑しましたが、やはり中村先生が
     ミュージックサロン四条に戻って来られる可能性は少なそうです。
     大阪の難波で他の方々を教えられているようですが、私が
     そこに習いに行くのは難しいと思います。中村先生とは、ライヴの
     観客として先生の活躍を今後も見られるのだから、それでいいか
     と思いました。
     ありがとうございましたと言って最後にレッスン室を出て、しばらく
     廊下を歩いて振り返ると中村先生がこちらを見られていました。
     私は戻って行って、何かもう一言言おうかと思いましたが、
     やめました。この光景をいつまでも脳裏に焼き付けておくためには、
     ここは静かに立ち去った方がよいと考えたからです。