ブリテン●青少年のための管弦楽入門作品三四
今から20年程前、民放のFM局で柴田南雄氏の解説でクラシックの新譜を紹介する番組があった。その番組の冒
頭のところでテーマ曲として、この曲が流れていた。この曲では珍しく、ナレーションなしの演奏で、ブリテン指
揮ロンドン交響楽団のレコードであった。少し速めのテンポで演奏されるが、他のレコードは音によるクラシック
音楽の解説の趣なのに、ブリテンのものは一つの音楽として傾聴に値するものである。パーセルの主題がオーケス
トラ全体で演奏され、その変奏曲が順次、様々な楽器で演奏され、13の変奏曲が終わると、フーガへと移り、華
やかに終わる。この曲は、中学校の音楽室で聞くことが一番多いと思う。音楽室で聞くのは、やはり学習目的であ
るから、ナレーションの入ったゆったりしたテンポの、あまり芸術性のない演奏の方であろう。初心者が楽器の音
色を覚えるのに解説は役に立つが、曲を芸術として聴くには、語りで音楽がとぎれとぎれになっては、音楽に没頭
できない。語りのないこの曲の演奏が、もっとあったらなあと思う。柴田南雄氏には、この番組や雑誌や本でたく
さんのクラシック音楽の知識を与えていただいた。その頃は、ラジオによる耳学問だけでも、かなりのクラシック
通になれた。