ドビュッシー●小組曲
 
この組曲は、「小舟にて」、「行列」、「メヌエット」、「バレエ」という4曲からなっている。ドビュッシーが

、四手用に作曲したものを、後に、ビュッセルが、管弦楽用に編曲した。全てを聴いても十数分で終わる、短い曲

であるが、ドビュッシーの音楽の美しい旋律を聴くことができる。ドビュッシーの管弦楽作品と言えば、「海」、

「夜想曲」、「牧神の午後への前奏曲」、交響組曲「春」等があるが、私は、あまり聴かない。ただ、この小組曲

は、よく聴く。特に、「小舟にて」は、思い出があるので、この曲だけを聴くことがよくある。「小舟にて」とい

う標題から思い浮かべるのは、やはり、公園の池や川に浮かぶ二人乗りのボートである。そして、もちろん、そこ

に乗っているのは、一組の男女である。大学の時、この曲を聴いて、一度は、宝ヶ池か嵐山で、二人で舟に乗れた

らいいなと思っていた。その夢は、残念ながらかなわなかったが、そういうイマジネーションを喚起したことは、

今でも、大学時代のよい思い出である。教室の窓にさす、初夏のまばゆい陽射しを見ながら、女の子に声をかけて

みようかなどと、真剣に考えていた自分を、この曲を聴くと思い出すのである。愛聴盤は、アンセルメがスイス・

ロマンド管弦楽団を指揮したもの。

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