ディーリアス●アパラチア
 
今から20年程前、FM誌で、音楽評論家の出谷啓氏が、名盤紹介(れこおど横丁)を書かれていて、それで、こ

の曲やディーリアスの作品のことを知った。「春を告げるカッコウ」、「楽園への道」、「ハッサンのセレナード」

等、美しく、少し退廃的な感じのする曲を聴き、クラシック音楽の間口の広さに驚いたものだった。それは、ベ

ートーヴェンやブラームスの作品のような骨組みのしっかりしたものでもないし、ロマン派の作品のようなパッシ

ョンもない、ただ美しいが、淡くガラス細工のように壊れやすい旋律が心地よく耳を愛撫する音楽である。この

「アパラチア」は、標題の通り、アメリカにある山脈の麓の地方にある民謡等の旋律を取り入れて作曲されたもの

である。曲の終わりのところで、オー・ハニー・アイ・アム・ゴーイング・ダウン・ザ・リバー・イン・ザ・モー

ニングで始まる、英語で歌われるところは、感動的であるが、クラシック音楽は、ドイツ語やイタリア語で歌われ

ることが多いのを考えると、やはり違和感がある。これがクラシックですかときかれると少し躊躇してしまうので

ある。愛聴盤は、ディーリアスをはじめ、イギリスの作曲家の作品に多くの名演を残している、バルビローリがハ

レ管弦楽団を指揮したもの。

                        戻 る