ファリャ●バレエ音楽「三角帽子」
スペインには、アルベニス、グラナドス、ファリャ、サラサーテと4人の偉大な作曲家がいるが、私は、この曲と
サラサーテのツィゴイネルワイゼン以外の曲を聴くことはほとんどない。むしろ、ギターの曲が好きな私は、タレ
ガのアルハンブラの思い出やロドリーゴのアランフェス協奏曲をよく聴く。スペイン音楽との出会いは、セゴビア
のひく、アルハンブラの思い出を聴いたのがはじまりだったと思う。ギター独奏の曲は大型スピーカーと対峙して
聴くよりもラジオのような小さなスピーカーの方がいい。アルハンブラの思い出を、今聴いている一つ40キロあ
るスピーカーで聴いたとき、大きな違和感が残った。電気を使わないギターの音量は他の楽器に比べ非常に小さい。
その代わり、繊細で柔らかい音が出せるのである。ただ、この音を大音量で聴くと、かわいらしく鳴く小鳥が、
3メートルの怪鳥になったようで、耳が受け付けないような音になってしまう。クラシック・ギターの音は、耳を
澄まして繊細な音を聴くのが基本であろう。スペイン音楽は、そんなギター音楽のような静かな曲が多いのだが、
この曲は終始賑やかである。ベルガンサの歌唱が印象深い、アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の新盤が、
愛聴盤である。