グリーグ●劇音楽「ペール・ギュント」作品23
 
この作品の中に、「ソルヴェイグの歌」があり、単独でよく歌われる。今から、70〜80年前にRCAのSP盤

にガリ・クルチが、「ソルヴェイグの歌」を含めポピュラーな曲を十数曲録音している。「ソルヴェイグの歌」も

すばらしいが、日本のアニメ映画『ほたるの墓』で使われた「はにゅうの宿」は、さらにすばらしい。他に、「や

さしき愛の歌」、「ラ・パロマ」、超絶歌唱の「見よ、やさしいひばりを」、「うぐいす」等が、録音されている。

音の悪い録音で聴いてもわかるのだが、自己流で歌唱力を身につけたため、声帯を酷使している。「見よ、やさ

しいひばりを」等を聴いていると、痛々しい程だが、自分の音楽を聴衆に理解してもらうための、生真面目さ、ひ

たむきさが伝わり、心を動かされる。カラスやノーマンが、未だに苦手な私だが、ガリ・クルチの声は、温かみが

あって、折に触れて、聴きたくなる。ガリ・クルチは、声帯を酷使したため、声が出なくなり、若くして歌手生命

を終えたが、このレコードは、不滅であると言いたい。「ペール・ギュント」の愛聴盤は、マリナーがアカデミー

室内管弦楽団を指揮したもの。そう言えば、このレコードで、「ソルヴェイグの歌」を歌っている、ルチア・ポッ

プも若くして(50才)世を去った。

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