リスト●交響詩「前奏曲」
ラマルティーヌの「人生は死への前奏曲である」という思想から霊感を得て、リストが、作曲した。扱うテーマが
重く、深刻なものであるため、愛聴しているのは、フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルのレコードである。
このレコードは、6年程前に、お茶の水の中古レコード店ハーモニーで購入した。どうしても欲しかったレコード
だったので、盤質の余り良くないものをあえて購入した。帰阪するまで時間があったので、渋谷の名曲喫茶ライ
オンでこのレコードをかけてもらった。案の定、曲の中程のところで、大きなスクラッチノイズが鳴り出した。そ
の時は、針飛びをせずに最後までかかって、ということしか考えなかったので、曲の良し悪しを吟味することはで
きなかった。幸運にも、最後まで針飛びしないと確認した、このレコードを自宅でじっくりと聴いてみると、激し
く盛り上がる部分よりもむしろ、静かに弦楽器が奏される部分の方が心を動かされ、しかも美しい。そして、弦楽
器のゆらめくような音は、フルトヴェングラーしか出せない、不思議な音だと思った。