メンデルスゾーン●劇音楽「真夏の夜の夢」作品21、61
 
文豪シェークスピアの「真夏の夜の夢」に、メンデルスゾーンが音楽をつけたものであるが、オペラと違って、劇

の要所要所に音楽を挿入するかたちとなったため、劇音楽と呼ばれる。序曲のみ17才の頃の作品で、他の曲は3

4才の時の作品である。序曲は、若々しいメンデルスゾーンの魅力にあふれた作品で、16才の頃に書かれた弦楽

八重奏曲に相通じるものがあるように思われる。旋律が伸びやかで、些事にとらわれない、初々しい音楽である。

これに対し、その他の曲はメンデルスゾーンの円熟期の作品なので、どの曲も序曲と違った味わいがある。特に、

妖精の歌、間奏曲、結婚行進曲、終曲は、すばらしい。私は、妖精の歌が、好きで、プレヴィン指揮ロンドン交響

楽団の全曲盤で、初めてこの曲を聴いて、気に入り、何度も何度も聴いたことを覚えている。その後、クレンペラ

ー指揮フィルハーモニア管弦楽団のレコードを購入し、現在の愛聴盤となっている。シェークスピアの戯曲は、こ

の他、「ロメオとジュリエット」「オセロ」「マクベス」「あらし」等後世の作曲家に、インスピレーションを与

え続けている。「真夏の夜の夢」はブリテンがオペラ化しているが、テキストが英語であるため、耳にすることは

余りないようである 。

 

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