ラヴェル●バレエ音楽「マ・メール・ロワ」
ラヴェルはボレロをはじめ、バレエ音楽「ダフニスとクロエ」、スペイン狂詩曲、組曲「クープランの墓」、道化
師の朝の歌、ラ・ヴァルス、亡き王女のためのパヴァーヌ等、名曲があって、クリュイタンスが名演を残している
が、私は、亡き王女のためのパヴァーヌを聴くくらいである。それに対し、パレー指揮デトロイト交響楽団による
この曲のレコードは、しばしば聴く。ドイツ音楽のような、起承転結のはっきりしていて、曲や楽章の終わりに向
かって、盛り上がって行くような音楽を、私は好む。私の場合、一瞬のきらめきや聴いただけではわからない技術
的困難さやオーケストレーションの巧みさや、心を動かさない旋律の繰り返しによる曲の構成等がしばしば見られ
るフランス音楽の管弦楽作品は、苦手であり、捕らえどころがない気がするのである。そんな中で、この曲は旋律
がなじみやすくメリハリがあり、終曲は大いに盛り上がるという点で、他の管弦楽曲に比べ、聴きやすい。ただ、
クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の演奏で聴くとやはり、フランス音楽らしさが出て、近寄りがたくなるの
で、単に、パレー指揮によるこの曲の演奏が、私の好みに合っているだけなのかもしれない。