レスピーギ●リュートのための古風な舞曲とアリア
イタリアの作曲家レスピーギは、ローマ三部作(交響詩「ローマの泉」、「ローマの松」、「ローマの祭り」)の
作曲で有名である。レスピーギは、研究者としてもすぐれたものを残している。この曲集は、レスピーギが15〜
16世紀のリュート音楽を撰び出し自身で編曲したものである。古風な舞曲の方は少し軽すぎる気がするが、アリ
アは心にしみる曲が多く、遠く15〜16世紀のイタリアに思いを馳せ、遠くを見るような眼になって、ほおづえ
をついてしまう。第三組曲の中のシチリアーナがよく知られているが、全ての曲を聴く価値は充分ある。不易とい
う言葉があるが、この曲集で、レスピーギが取り上げた音楽は、不易の音楽である。いつの時代の人にとっても心
をときめかすことのできる音楽を探し出し、レスピーギの時代に合った編曲をして、世に送り出したのである。愛
聴盤は、マリナーが、ロサンジェルス室内管弦楽団を指揮したもの。マリナーのきめ細やかで、隅々まで配慮され
た指揮は、舞曲の部分もしっとりと、あまり騒々しくなることなく、安心して聴かせてくれる。くつろぎの音楽と
して、第一級の演奏である。