リムスキー=コルサコフ●交響組曲「シェエラザード」作品35
「シェエラザード」は、私が大好きな曲の一つである。針をレコードの上に落とすとすぐに、私は、アラビアンナ
イトのヒーローになって嵐の海に出帆していったり、僧になって巡歴したり、相愛の王女と宮殿で語り合ったりで
きる。つまり、普段の生活を忘れ、時空を超え、アラビアンナイトの時代に中東の国のどこかにいるかのように、
想像力をたくましくすることができるのである。長年愛聴しているレコードは、アンセルメがスイス・ロマンド管
弦楽団を指揮したレコードであるが、ストコフスキーがロンドン交響楽団を指揮したレコードもすばらしいと思う。
弦が美しく鳴るとか、金管楽器が輝かしく鳴るといったことも重要なことであるが、エキゾチックな雰囲気に浸
らせてくれることが、より大切なことである。そのためには、様々な打楽器が要所要所で効果的に打ち鳴らされる
ことが、重要である。幻想交響曲と同様に、色彩感のあるこの曲を、アンセルメは見事に演奏している。クラシッ
ク音楽は、想像力を養い、人生を豊かにしてくれる。