R・シュトラウス●交響詩「ドン・キホーテ」作品35
 
R・シュトラウスが、文豪セルバンテスの「ドン・キホーテ」を10の変奏曲を持つ、交響詩として作曲したもの

で、音で物語の様々な場面を描いていて楽しい。「ドン・キホーテ」は大学生の時に、一通り読んだことがある。

読む前は、主人公ドン・キホーテは、騎士道文学を不眠で読んだため、頭がおかしくなった老人で、その主人公が

引き起こす喜劇であると思っていた。ところが、頭がおかしくなるところは同じであるが、その後の物語は、ドン

・キホーテがまるで若さを取り戻したかのように敵に向かって行ったり、熱く騎士道について語ったり、理想の女

性に恋焦がれたりする。確かに、サンチョ・パンサの主人を馬鹿にしたような小言は、ドン・キホーテのしている

ことを取るに足らないことに思わせてしまうが、別の見方をすれば、ドン・キホーテのような大志を持つ生き方は

若者の考え方、サンチョ・パンサは、老いぼれて、人を批判することしかできなくなった、つまらない人間と写る

のだが。私は、この曲を聴くたびに、サンチョ・パンサのような人を批判ばかりしている人間になりたくないなと

思い、難はあるが、ドン・キホーテのように志を大きく持たなくてはと思うのである。愛聴盤は、フルニエとセル

が、共演したもの。

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