シェーンベルク●浄められた夜作品4
「浄夜」とも呼ばれ、デーメルの詩にもとづいて作曲された、標題音楽である。詩の内容は、誤って見知らぬ人の
子を宿した女性が、現在の恋人に真実を打ち明ける。男は、女が身ごもった子の将来を祝福する。それは、子を身
ごもった女の身体を、輝きを持つものに変えた。今まで以上に深い絆で結ばれた二人は、霧深い木立の中に消えて
いく。最初の暗い感じの旋律は女の深い罪の意識を表わし、中程の美しい旋律は女の男に対する心からの告白を表
わし、最後のところで現れる軽やかな明るい旋律は、全てを告白し男がそれに対し暖かい心で迎えてくれた女性が
その最愛の人と霧深い木立の中に消えていくという描写を表わしているということが、よくわかる。私は、この曲
を初めて聴き、デーメルの詩を読んだとき、深く感動すると共に、女性の身勝手を受け入れる男性の心の葛藤を思
った。田舎者の私には理解できない、都会的な発想なのだろうと思って納得したが、当事者となったら、きっと、
大いに迷うことだろう。愛聴盤は、ストコフスキーが、自ら率いる交響楽団を指揮したレコードを長年聴いている。
音の良いオリジナルに近い盤が手に入れば、きっと弦の音がすばらしいだろうなと思う。