シベリウス●「カレリア」組曲作品11
シベリウスの管弦楽曲には、「フィンランディア」、「トゥオネラの白鳥」、「悲しきワルツ」等、魅力一杯の曲
がある。この「カレリア」組曲も短い曲ではあるが、同様に魅力あふれる曲である。シベリウスの作品に一貫して
ある、フィンランドの自然描写や祖国愛が感じ取られる。祖国に対し、誇りと希望を持てる国民は幸せであるが、
わが国はどうであろうか。人に、若年期、壮年期、老年期があるように、国家も年老いていくのだろうか。愛情の
持てる国土となるためには、自然を大切にし、決して汚すことがあってはならない。自分が心がけることはたやす
いが、他人を正すことができるだろうか。国民の生活は豊かになったが、それと同様に自然も豊かになっただろう
か。人間は、自然に触れ、自然と共存しているから、自然の恵みや脅威を実感できるのであるが、接点がなく、切
り離されてしまうと、その変化を感じ取れなくなるのではないだろうか。フィンランドは、日本ほど開発されてい
ないため、豊かな自然が残り、それを守るため自助努力している。振り返ってみて、私達の意識はどうであろうか。
「カレリア」組曲を聴いていると、いつもそんなことを考える。愛聴盤は、サージェントがウィーン・フィルを
指揮したもの。