チャイコフスキー●幻想曲「テンペスト」作品18
 
大学時代の友人の知り合いで、クラシック音楽に非常に興味を持っている人がいると聞いて、その友人にその人を

紹介してもらった。当時、再生が困難と言われ評判になっていたテラーク盤、チャイコフスキーの序曲「1812

年」のレコードを再生できるオーディオ装置が、彼の下宿にあると言うので、訪ねていった。序曲「1812年」

のレコードは、近所迷惑になるという理由で聴くことができなかったが、その代わりにかけてくれたのが、この曲

である。彼は、中程の重厚な弦楽器群が奏する美しい旋律のところにくると、すばらしいだろと言って、自慢のオ

ーディオ装置の音に聞き入っていた。それから10年程してから、中古レコード店で、このレコードを見つけた。

購入し、自宅でじっくり聴いてみると、実にすばらしい曲であることがわかった。特に、曲中で何回か繰り返され

る旋律が、本当に美しい。そして、管楽器も美しい弦楽合奏を盛り上げるのに、役立っている。見ず知らずの者を

下宿に招いてくれ、この曲を聴かせてくれた彼に、この場を借りて、お礼を言いたいと思う。その演奏は、スヴェ

トラーノフがソヴィエト国立交響楽団を指揮したもの。唯一無二の名演である。

 

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