V・ウィリアムス●タリスの主題による幻想曲
この曲を初めて聴いたのは、自転車の上でである。今から10年程前、私は腰痛症となったため、なんとか自分で
治す方法はないかと考え、腰に適度な負荷のかかる自転車で傾斜の急な道を登ることを思いついた。私の住む高槻
から、亀岡方面に進路をとると、ちょうどよい加減の坂道が延々と続くのである。自転車による治療を始めて3ヶ
月が経過したその日は、日曜日の朝5時に出発して、NHKラジオの「音楽の泉」が始まる、8時5分には亀岡市
からの帰途についていた。携帯ラジオから、皆川達夫氏が、「今日は、ヴォーン・ウィリアムス作曲のトーマス・
ターリスの主題による幻想曲をお送りします」と言われたのを今でも覚えている。その時ちょうど、亀岡の山の中
を喘ぎながら走っており、携帯ラジオをイヤホンで聴いていたので、良い音で聴けなかったが、あたりの風景がタ
ーナーやコンスタブルの絵を思わせるところがあって、妙に曲が心に残った。その時に聴いた演奏は、マリナーが
アカデミー室内管弦楽団を指揮したもので、長年求めていたレコードが、つい最近購入することができた。その後
腰痛症も治り、日曜日に自転車で遠出することもなくなった。その頃は、身体もしまっていたが、最近太り気味。
また、行こうかと思う。