バッハ●ゴルトベルク変奏曲
バッハが、不眠症に悩んでいたある伯爵から依頼を受け書かれたチェンバロ曲で、伯爵おかかえのチェンバロ奏者
の名が、ゴルトベルクであったため、この名がある。私は最初、聴いて安眠ができるような曲を依頼したのだと思
っていたが、実際は長い夜のつれづれを慰めるために作曲を依頼したということらしい。チェンバロだけでなく、
ピアノ、ピアノ三重奏、アコーデオン等でも演奏されるが、レオンハルト(チェンバロ)とグールド(ピアノ)の
二つのレコードを愛聴している。レオンハルトの演奏はゆったりとしていて、伯爵が聞いていた音楽に近いと思う
が、オリジナルに近いレコードを大き目の音量で聴くと、チェンバロの音が生々しく刺激的に聞こえ、とても穏や
かな気持ちでいられなくなるところが面白い。一方、グールドの演奏は、変奏曲ごとにテンポを変え、引き締まっ
た演奏になっている。このレコードの発売当時は、テンポを変えないでチェンバロで演奏されることが常だったた
め、グールドの演奏は新鮮だったにちがいない。グールドは、バッハ以外にもモーツァルトやベートーヴェンでも、
一味違った解釈をして、賛否両論があるが、私は、この曲とベートーヴェンの三大ソナタは面白い解釈だと思う。