ベートーヴェン●ピアノ・ソナタ第23番へ短調作品57「熱情」
 
ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中で最高傑作であり、古典派、ロマン派等のすべてのピアノ・ソナタの中でも

最高のものであると、私は信じている。暗く痛々しい旋律で始まり、やがて何度も壁を乗り越えようとするが果せ

ず、それでも克服しようと試みる。疲労困憊に至った時に、静かに自省を始める。自分を見つめなおし、自分の中

で建て直しができた時に未来は輝き、完全燃焼できる。私なりのこの曲のイメージであるが、精神的に落ち込んだ

時に、よくこの曲を聴いて、自分を励ました。仕事、恋愛、友人関係等、壁にぶつかることが多い私にとっては、

欠かすことのできないありがたい曲である。3枚の愛聴盤があり、どのレコードもよく聴く。ケンプのグラモフォ

ン盤は、チューリップ・ラベルではないが音質がとても良く、根底に熱いものが流れているこの演奏を十二分に伝

えてくれる。リヒテルの豪快な演奏はピアノが壊れてしまうのではないかと思うくらい、力のこもったものだ。バ

ックハウスのダイナミックな演奏はこの曲の標準的な演奏だと思う。ケンプのレコードを最もよく聴くが、ダメー

ジが深刻な時にはリヒテル盤を聴く。

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