マーラー●交響曲第3番ニ短調
この曲を知ったのは20年程前に人から教えられてでした。私の場合、クラシック番組でのコメント、本、雑誌で
見聞きして、興味があるレコード、CDを購入するということが多いのですが、この曲は親しくしていただいていた
内科医から勧められたのでした。その先生は、詩的な作品なので是非聴いてくださいと言われ、私はこの作品に
興味を引かれ、その方が勧められるアバド指揮ウィーン・フィルのレコードを購入したのでした。
この曲はクラシック音楽の器楽曲(歌劇、声楽曲以外の曲を総称してこう呼ぶことがあります)の中で演奏時間が
最も長い曲で、1時間40分ほどの演奏時間を要します。6つの楽章があり、最初の楽章だけで30分以上かかり、
ソプラノ独唱の楽章あり合唱の楽章ありとそれだけでも十分楽しめますが、私は終楽章の美しい旋律の繰り返しで
盛り上がり、その頂点で曲を終えるという手法に最も心が引かれます。
最近になって気づいたことですが、クラシック音楽を心の支えとして聴いて来た私にとって、好きな曲のパターンと
いうのが、終楽章が盛り上がり、励まし鼓舞してくれるというものなのです。終楽章を盛り上げるためにそれまでの
楽章がどちらかというと暗いものだったり、終楽章までに様々な音楽の愉しみを提供してくれるものはさらに曲を
盛り上げます。前者としては、ベートーヴェンの「運命」、シューベルトの「ザ・グレイト」、メンデルスゾーンの
「スコットランド」、ブラームスの交響曲第1番、チャイコフスキーの交響曲第5番、後者としては、シューマンの
「ライン」とこの曲が思い浮かびます。
アバド盤は1982年にデジタル録音したものですが、アナログレコードでも聞くことができます。このアナログ
レコードを名曲喫茶ライオンや名曲喫茶ヴィオロンで掛けてもらいましたが、デジタル録音のかたさはなく、ハープ
の音も弦楽器の音も艶があり、自然なものでした。特に最初の楽章と終楽章はすばらしく、息を呑むほどでした。
またノーマンのソプラノ独唱もウィーン少年合唱団の合唱も完璧でした。
私は高校を卒業してからすぐにクラシック音楽の魅力にとりつかれ、36年余り聴いて来ました。クラシック音楽に
多くの人が興味を持ち、関連の図書やラジオ番組が多かった時代のことも知っています。生演奏を聴くことは余り
ありませんでしたが、たくさんのレコードを購入し、名曲喫茶ヴィオロンで開催しているLPレコードコンサートも
50回を越えました。昨年、この曲をこの催しで聴いていただきました。最近、このような名曲の名演をより多くの
方に聴いていただくのが私の使命ではないかと思うようになりました。いろいろな文化的な活動をしている私ですが、
今後は、クラシック音楽の素晴らしさを知っていただくことにより一層力を入れていこうと思っています。