今年こそ、槍から前穂の縦走ができると思ったのですが

槍・穂高方面への登山は、今回で7回目。最初と4回目を除いては、槍から前穂の縦走ができるように願って
出掛けました(因に最初は槍から西穂までの縦走、4回目は槍ヶ岳周辺だけの登山を予定していました)。今回こそ
縦走を果たして、ひとつ大きなことを成し遂げたと自画自賛して、過去を振り返ったり、登山の心掛けなどを
語ったりできればいいなと考えていました。あーあーそれなのに...。

いつものように京都から始発の新幹線に乗り、名古屋で特急しなのに乗り換えて松本に出て松本電鉄とアルピコのバスを
乗り継いで上高地入りして午後4時位には槍沢ロッヂに到着する予定だったのですが、台風4号の強風と大雨の影響で新幹線の
名古屋着が20分遅れしなの1号に乗れず、1時間後のしなの3号に乗ることになりました。その後も遅延が生じて上高地入りが
1時間半余り遅れ、いつもなら上高地バス停近くの食堂で他人丼と山菜そばを食べてから、槍沢ロッヂへと向かうのですが、
到着するとすぐに雨具を身につけて(豪雨ではありませんでしたが、雨具なしでは無理でした)出発しました(昼食は松本
駅で弁当を買い、松本電鉄のホームの奥にある、そば屋のそばのベンチで食べました)。必死で歩いた甲斐あって、いつもより
20分程時間短縮でき午後4時30分に槍沢ロッヂに着くことができました。

宿泊手続きの時、食事は午後6時15分からになると言われたので、さっと行水した後(槍沢ロッヂにはお風呂があるのです)
食堂の前をうろうろしていました。するとどこかで見た身長180センチ位のがっしりした、イギリス人らしい人が
私の前を通りました。グレーのTシャツの中央には「槍」と大きく一文字だけ書かれてありました。私は思わず、
「パーカーさんじゃないですか」(パーカーさんは私より日本語が上手です)と叫んでいました。パーカーさんは最初、分から
なかったようでしたが、「昨年、往路のバスで一緒だった...」と言うと思い出されたようで、握手をして下さいました。
パーカーさんは13人の旅行者を案内しなければならないので、ほんの少ししか話はできませんでいたが、行き先は、東京、京都、
富士山、槍ヶ岳ということでした。夕食後、なかなか寝付けなかったのですが、それでも6時間足らず眠ることができたので、午前
4時前に起き出して出発の準備をしました。また午前5時からの食事は先着順と言われていたので、20分前から列に並びました。

食事を終え準備をして、出発したのは午前6時でした。この日は曇りで雨の心配もなかったのですが、槍ヶ岳の近くまで
登っても一向にガスがなくならず、槍ヶ岳の写真は撮れないかなと思っていたところ、槍ヶ岳山荘の近くまで来ると一気に
ガスはなくなってくれました。ところが、そこまで登ってみるとただならぬ雰囲気で、慈恵会医科大学の診療所の入口が
開けっ放しになっていたので、「滑落があったのかな」と思いました(後にその現場におられた、山口から来られた山田さんと
話す機会がありましたが、若い女性が梯子から落ちて額をきられていたが、意識ははっきりされていたとのことでした)。
やがてヘリコプターがやってきて救護活動があり、私はそれを大喰岳から見ましたが、あまり立ち止まらずに先を急ぎました。
その後も夜になるまで、曇天ではありましたが、見通しがよく、ライカの超広角レンズ、エルマリート21ミリも持って来て
いたので、広がりのあるよい写真がこの時は撮れたように思います(それだけが、今回の唯一の収穫です)。

2日目の宿は何度も利用したことがある、南岳小屋でした。詳細には触れませんが、ある理由で2時間余りしか睡眠が取れず
少しつらい思いをしました。翌朝、穂高方面に行くために大キレットを下りて行くことを夢見たのですが、夜になって降り始めた
豪雨が一向にやまず、むなしい気持ちで午前6時に上高地に向けて出発しました(翌日も雨とのことだったので、下山することに
しました)。途中、中岳と大喰岳の間を1.5往復したため(道に迷ってしまったのです)1時間20分、時間ロスしましたが、
午後5時40分に上高地バス停に着くことができました。

アルピコのバスが午後6時5分までなかったため、タクシーを利用しましたが、タクシーでも午後7時6分の特急しなのに
乗車するのは難しい(チケットを変更してもらわないといけませんし)とのことでした。それでも女性ドライバーの神沢さんと
楽しい話をしたので、少し晴れた気分で松本駅へと向かうことができました。タクシーを降りて一昨年も帰る前に入った
そば屋に入り、馬刺と山菜そばを食べて、午後8時30分発の特急しなのに乗りました。

そう言うわけで、今年も奥穂、前穂の雄大な写真を撮ることはかなえられませんでした。次回はもう一度同じコースをと考えて
いますが、発想の転換をして、岳沢(岳沢小屋が今年できました。30人泊まれます。要予約)から登って、前穂、奥穂と進み、
穂高岳山荘で一泊して下山することも考えに入れておいた方がよいかもしれません。