ベートーヴェン●交響曲第6番へ長調作品68「田園」
 
確か中学一年生の時に、音楽の授業一時間を費やして、この曲を全楽章通して聴いたという記憶がある。そのとき

にそれに感動していたなら、高校を卒業するまでほとんどクラシック音楽を聴かない、ということにはならなかっ

ただろう。思うに、その時聴いたのは多分ベーム盤以外のレコードだったのではないかと思う。ワルター、エーリ

ッヒ・クライバー、フルトヴェングラー等のレコードを聴いたが、ベーム盤ほどの感動が得られないのである。中

学生の時に聴いたのは誰の演奏であったか今知るよしもないが、一つ言えるのは、ベーム盤にあるような終楽章の

輝かしさがなかったのは確かだ。嵐が去った後の輝きの描写がベーム盤では他のレコードと比較して、はるかにす

ばらしいのである。第1楽章第2楽章の田園風景の描写も美しいが、ロマン・ロランが言うように、苦しみを突き

抜けて歓喜に至るような、ベートーヴェンらしい後半の三つの楽章の方が個人的には好きだし後半の充実した演奏

を高く評価する。

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