ベートーヴェン●交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
年末になると、とかく第九の話題で賑やかであるが、シラーの詩で語られる、博愛が人々の心に浸透し、恒久の平
和につながるのであれば、12月に数多く演奏されるのは、大変意義のあることだと思う。そんな合唱の付いた第
4楽章もいいが、ゆったりとしたテンポで優しく美しい旋律が繰り返し演奏される。第3楽章もすばらしい。愛聴
盤はやはり、フルトヴェングラーのバイロイト音楽祭のライヴ盤。今後も多くの人を感動させ、少し激しい面もあ
るが聴衆を暖かい気持ちにさせるベートーヴェンの音楽に共感する人を増やすために貢献するだろう。この曲には、
もう一つ愛聴盤がある。ミュンシュがボストン交響楽団を指揮したもの。このレコードとの付き合いは、フルト
ヴェングラー盤よりも長い。なぜなら、最初に興味を持った指揮者がミュンシュであるから。クラシック音楽のフ
ァンになってすぐの頃に、ミュンシュのレコードをいくつか買ったが、第九とシューベルトの交響曲第9番「ザ・
グレイト」は、今でもよく聴く。テンポが速く、少し荒々しい感じがするが、それが激しく心を揺さぶり、聴く人
の心を陶酔させる。