ブラームス●交響曲第1番ハ短調作品68
 
私は、この曲を聴く時はいつでも、空想の翼を広げ、そのイメージと共に聴いている。第1楽章は、混沌とした状

況、ただしそんな中でも強い意志で道を切り開こうとしているイメージ。第2楽章は、暗い闇に一条の光が差し、

それがだんだんと広がり、やわらかな光があたり一面をおおい、一時の休息をするイメージ。第3楽章は、長年の

苦労が報われ、楽しい日々を過ごすイメージ。同行する伴侶やたくさんの友人もできる。第4楽章は、更なる飛躍

を目指して、挑戦する。何度も打ちのめされるが、多くの知己を得、大きく成長した者は、大きな妨げもなく、人

生を豊なものにしてゆき、栄光のゴールをくぐるイメージ。万人向けではないが、標題のない曲はとっつきにくい

と言われる方は、このように想像をたくましくして聴くとよいと思う。愛聴盤は、ミュンシュがパリ管弦楽団を指

揮したもの。このレコードをFM放送で聴いたのが、クラシック音楽をじっくり聴くきっかけとなった。一音一音

にミュンシュの力がこもっているのが感じられ、私の場合、その力をもらったような気になって、勇気付けられる

のである。

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