ブラームス●交響曲第2番ハ長調作品73
ブラームスの田園交響曲と言われ、のどかな感じの曲である。愛聴盤は、カラヤンが1963年にベルリン・フィ
ルを指揮したものである。カラヤンは、ブラームスの4つの交響曲をそれぞれ3回、ベートーヴェンの交響曲全集
を4回録音している。ブラームスの交響曲第1番、チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」は、それぞれ7回録音
している。年齢によって解釈も変わるだろうし、より完成されたものを目指すのは当然のことである。しかし、一
つの作品をもっと時間をかけてゆっくりと解釈し、仕上げていたら、同一作品を何度も録音する必要もなかったと
思うし、その分、知られざる名曲を発掘できたかもしれない。また、刺激的な、他のオーケストラとの共演もでき
たのではないか。チェリビダッケのように、録音嫌いで、レコード・ファンの私が愛聴盤を一枚も持っていない指
揮者も困るが、カラヤンのように、ベルリン・フィルと作ったレコードがあまりに多いのも困る。同じ空間を共有
するものだけに演奏したチェリビダッケはオーケストラを転々とし、絶えず新しい刺激があったが、カラヤンは、
ベルリン・フィルを指揮したものが多いが、新鮮味もなく狭い世界の中で感情を抑えて、作品を作り上げたのでは
ないだろうか。