ブルックナー●交響曲第7番ホ長調
この曲も、交響曲第4番「ロマンティック」と同様に、ドイツの自然を描いたものであるが、第4番よりずっと洗
練されていて、とても美しい曲である。第1楽章、第2楽章は、弦楽器と金管楽器が交互に大河のようにゆったり
として堂々と流れる、美しい旋律を奏でるところがあって、心にやすらぎを与えてくれる。第3楽章、第4楽章は、
少し短く感じるが、約1時間に及ぶ大曲を堂々と締めくくっている。愛聴盤は、ショルティがウィーン・フィル
を指揮したもの。針をレコードに落とし、眼を閉じると、鬱蒼たる森林の中に白く浮き上がるノイシュバンシュタ
イン城(白鳥城)、やがて城は、白鳥に姿を変え、ドイツの山河を鳥瞰する。そんな想像をいつもしている。ショ
ルティ盤の他に、ベームがウィーン・フィルを指揮したものや、フルトヴェングラーがベルリン・フィルを指揮し
たものも良いと思う。ブルックナーの交響曲は、演奏時間が長い。それに、楽譜の改訂版があって、どれを聴いて
よいのか迷う。しかし、これと決めて、じっくりと聴けば、ブルックナーの旋律の大河に身をゆだねることになり、
これが実に心地よい。