ブルックナー●交響曲第九番ニ短調
 
第九番の交響曲ということで、ブルックナーはベートーヴェンの交響曲第九番「合唱」を意識し、第四楽章に合唱

の入った交響曲にしようとしたが、最終的にできたものは、第四楽章が未完成で、三つの楽章のものとなった。ブ

ルックナーが、この曲を作曲中に亡くなったため、三楽章となったが、内容は充実している。ブルックナーが、七

〇才を越えた時の作品で、やはり、枯淡の境地や憂愁という言葉と結びつく、そんな性格の曲である。だから、音

楽を聞いて、楽しい気分になりたいとか、ストレスを解消したいと願う人には向かない曲である。むしろこの曲は、

冬の寒い日にじっと聴き入って、孤独感や別れの悲しみを味わう曲である。ブルックナーも、きっと親しい人た

ちとの別れを意識して、この曲を書いたにちがいない。本当に美しくも悲しい曲だが、大きな感動ももたらす。若

い日は、恋愛や人間関係に悩むことが多いが、そんな時には、この曲を聴いて、深い孤独感に浸り、そうして落ち

着いたら、明日からはがんばることにしたらどうだろうか。私もよくそうしたのだが。愛聴盤は、クレンペラーが

ニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮したもの。

 

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