ドヴォルザーク●交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
「家路」という歌は、小学校の音楽の授業で歌った人も多いと思うが、そのために、この曲はその旋律が出て来る
第2楽章だけを聴いて満足してしまいがちである。他の楽章は、テンポが速くなったり、突然大きな音で金管楽器
やティンパニーが鳴ったりで、第2楽章と比較すると安心して聴いていられない。私も、クラシック音楽ファンに
成るまでは、この曲の荒々しいところが好きになれず、第2楽章だけを聴いていた。感性だけで聴いている点は昔
と変わらないが、ずっとクラシック音楽を聴くうちに、じっと最後まで何回かきくと、名曲と言われる曲はいくつ
かの聴きどころがあるということがわかって来る。そうして、その箇所に来ると、感情が高ぶったり、メロディー
を知らず知らずのうちに口ずさんでいたり、細長い棒を指揮棒のように振り回していたりする。本当の名曲の名演
を聴いた時は、周りに気にすることがなければ、誰でも旋律を口ずさんだり、手足でリズムを取るようになると、
確信している。愛聴盤のシルヴェストリがフランス国立管弦楽団を指揮したレコードを聴くと、細長い棒を振り回
したくなる。第2楽章が非常にあっさりとしているので物足りなく感じるが、その分、第3楽章・第4楽章が盛り
上がる。