マーラー●交響曲第4番ト短調
 
愛聴盤は、ハイティンクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したものであるが、第4楽章で独唱

しているアメリンクがすばらしい。アメリンクはオペラで歌うことがないが、シューベルト等の歌曲集、バッハの

宗教音楽等で愛らしい声を披露している。「夕べに」という歌曲が入っているシューベルトの歌曲集やモーツァル

トの「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」をよく聴くが、何度聴いても飽きの来ない美しい声である。「魔笛」、「タ

ンホイザー」、「椿姫」、「ボエーム」しかオペラを聴かない私が、歌い方についてあれこれ言うのは問題がある

と思うが、声量や高音が出るのを誇示したりするのを聴くと、私にはオペラの鑑賞はきついなと思うのである。し

かし、アメリンクの声はそのような歌手たちとは違い、決して自分を誇示することなく、やさしく語りかけるよう

に歌うのである。オペラの世界で有名になるためには、自分のセールスポイントをしっかりと提示しなければなら

ず、そのため人より秀でたところを誇示することになってしまうのだろう。また、歌手の超絶技巧(歌唱)を楽し

みにしている聴衆が多く、アメリンクのような地味な歌唱は、需要が少ないのかもしれない。

 

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