マーラー●交響曲「大地の歌」
この曲は、ワルターがフェリア―、パツァークと共演したレコードの評価が高く、私の愛聴盤でもある。一般的に
はフェリア―の歌唱が高く評価されているが、終楽章の高音を出すところで私のステレオが拒絶反応を示し針飛び
を起こすこともあってフェリア―の歌唱を好きになれない。一方、第1楽章や第5楽章を歌うパツァークの哀愁の
ある声に聴きほれてしまう。特に、ドゥンケル・イスト・ダス・レーヴェン・イスト・ダス・トッド(生も暗く、
死も暗い)と歌われるところは、決して明るくなかった学生時代と似たところがあったので、よく声を張り上げて
唱和したものだった。また、酒について語られる第5楽章も、短い楽章であるが、なじみ易い旋律で聴きほれてし
まう。漢詩のドイツ語訳にマーラーが作曲したもので、東洋的な香りが強くする曲である。ワルターは、師である
マーラーのこの交響曲を、抑制は効いているが、この曲に対する熱い思いを前面に押し出して演奏している。それ
は、特に第1楽章と終楽章に顕著であるが、さらに言うなら、第1楽章の冒頭に凝縮されている。