メンデルスゾーン●交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」
「スコットランド」の標題を持つこの曲は、スコットランドの自然を描写した音楽で、レコードでは、同様にスコ
ットランドの自然を描写している序曲「フィンガルの洞窟」と一緒になっていることが多い。苔むした岩肌や古い
城の石畳に雨が降り、雨だれが落ちたり、水たまりが出来たりするところをなんとなく想像させるこの曲を聴くと、
私は、心が安らぐ。愛聴盤は、マークがロンドン交響楽団を指揮したもの。このレコードでは、先に序曲「フィ
ンガルの洞窟」が入っており、この出だしを聴くだけでとりこになってしまう。そして、ごく自然に「スコットラ
ンド」の第1楽章へと移行してゆく。弦楽器の演奏がすばらしく、他のセクションが控えめで淡々と演奏している
のが、このレコードを魅力あるものにしている。私はデッカのモノラル盤を持っているが、ステレオ盤だと超プレ
ミアム盤で6万円の値が付いていたのを見たことがある。エルマンの「エルマン・リサイタル」のレコードを2万
8千円で購入したのが、一番高い買い物である私にとっては、高嶺の花であるが、ウラニアのエロイカと共に、一
度は聴いてみたいレコードである。