シベリウス●交響曲第1番ホ短調作品39
シベリウスは7曲の交響曲を作曲しているが、第2番の評価が一番高く、他の交響曲の評価については人によって
まちまちである。私の場合、その後第1番、第7番と続く。シベリウスの交響曲はフィンランドの自然を音で表現
したもので、荒々しいティンパニーの連打や金管楽器の重々しい響きは、厳しい自然を連想させ、弦楽の美しい調
べは鬱蒼たる森林を思わせる。この曲は、最初の交響曲のため、そういった特徴が素朴な形で出てくる。終楽章の
終わり頃に出てくる旋律はとても美しく、この曲の白眉と言っていいと思う。金管楽器の渋い音、ティンパニーの
よく響くが過度に重過ぎない音、弦楽器の艶のある音、これらを正確に再現しているのは、コリンズがロンドン交
響楽団を指揮したもので、私の愛聴盤である。デッカの優秀な録音技術が、コリンズ指揮ロンドン交響楽団のすば
らしい演奏を十二分に記録している。デッカのプレミアム盤と言っても、このレコードは高価ではないので、雪の
結晶とシベリウスが描かれているジャケットのデッカ盤を購入するのがよいと思う。