チャイコフスキー●交響曲第4番へ短調作品36
最近になって、シルヴェストリの外国盤を購入した。セラフィム・シリーズ(廉価盤)で購入して以来、音の良い
盤を求め続けてきたが、約20年にしてやっと手に入れることが出来た。第1楽章の金管楽器の響きや第3楽章の
ピチカート等、思わず耳を傾けてしまうが、私が一番好きなのは、第2楽章である。寂しげな旋律が流れるこの楽
章は、ロシアの大地をとぼとぼと歩いているような気分にさせてくれる。私は、この曲を聴いて、遠くロシアの地
にひとりいるような気分になって、自己を客観的に見つめなおすきっかけにしたりする。シルヴェストリは、この
ロマンティシズムの濃い作品をより濃密に仕上げている。彼の、ドヴォルザークの「新世界より」の演奏にも似て、
あらゆる技巧を駆使して曲を盛り上げ、深い感動に浸らせてくれる。一歩間違えれば、芸術性が損なわれるとこ
ろを、少し手前で踏みとどまったと言える。このシルヴェストリや、ストコフスキーのようなアクの強い、派手な
演奏に拒絶反応を示す人も多いが、そんな個性豊かな演奏を許容できる曲も、クラシックにはあると思う。