チャイコフスキー●交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
チャイコフスキーの最晩年の作品で、美しい旋律にあふれ、中でも第1楽章、第2楽章、終楽章で流れるゆったり
とした旋律は本当にすばらしい。「悲愴」という標題と、この作品発表後間もなくチャイコフスキーが亡くなった
ということから、暗いイメージを持ちがちであるが、私は、歌に満ちた美しい曲としていつも聴いている。とはい
え、確かに、終楽章は沈痛で悲しみに満ちているが。「悲愴」という標題を見て、この美しい曲を忌避しないで聴
いてほしいと思うのである。愛聴盤は、マルティノンがウィーン・フィルを指揮したものであるが、メンゲルベル
グ盤もたまに聴く。その他、クレンペラー盤は20年来の古い友達であるし、悲愴な絵のジャケットのモントゥー
盤は、高価であるが、一度は聴いてみたいと思う。また、フルトヴェングラー、ムラヴィンスキー、アバドの音の
良いレコードを探している。私の場合、この曲を終楽章まで通して聴くと、美しくもあり、悲しくもある旋律によ
って、精神の浄化(カタルシス)がなされ、心がリフレッシュされるのである。