ボッケリーニ●チェロ協奏曲変ロ長調
ボッケリーニは、いくつかチェロ協奏曲を残しているが、この変ロ長調の協奏曲が最も有名である。この協奏曲に
は、グリュツマッハー版と原典版があり、華やかなグリュツマッハー版の方が、演奏される機会が多いようだ。私
が愛聴している、デュ=プレがバレンボイム指揮イギリス室内管弦楽団と共演したものも、グリュツマッハー版で
ある。デュ=プレとバレンボイムはこの録音をした、1967年に結婚をした。言わば、幸せの絶頂での録音であ
る。その後、デュ=プレが難病に侵され、永遠にその幸せが続かなかったことも悲しいが、クラシック・ファンに
とっては、将来性豊かな音楽家が、円熟の境地に入る前に生命を奪われたことは、さらに悲しむべきことだ。デュ
=プレの病気は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)で、筋肉の機能を少しずつ奪ってゆき、やがて呼吸さえも自分で
できなくなるという、不治の病である。以前、同じ病に侵された、高槻在住の中林さんと言う方が、手足が既に動
かせなくなったため、絵筆(割り箸を尖らせ、その先に墨汁をつけたもの)で美しい花の絵を描き、子供達への贈
り物として画集を残そうとしていたのをテレビで見たことがある。その後どうされたか、中林さんのその後と合わ
せ、知りたいと思う。