ブラームス●ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品83
ピアノ協奏曲では、ベートーヴェンの「皇帝」と双璧の、内容が充実した作品である。ピアノ入りの交響曲といっ
た曲相で、構成も交響曲の定石の4楽章である。そして、ブラームスの四つの交響曲と同様にゴシック建築のよう
な力強い様式美を持つ作品である。バックハウスとベームが共演したもの、ゼルキンとセルが共演したものが名演
と言われているが、私個人が好きなのは、非常にダイナミックでピアニストと指揮者の間で火花が散っているよう
な、ギレリスがライナー指揮シカゴ交響楽団と共演したレコードである。ジャケットが真っ赤なので、そういった
先入観を持たせるのかもしれない。ギレリスの豪快なピアノ演奏とライナー指揮のメリハリの効いた伴奏は、雄渾
で聴いた後の爽快感がすばらしい。ところで、RCAと言えば、リビング・ステレオという音質がすばらしい、プ
レミアム盤があるが、この演奏もリビング・ステレオで聴ければと思い、多くの中古レコード店で探したが、未だ
に入手できないでいる。現在持っているのは、装丁が全く同じの(LIVING STEREOの文字も見られる)英国盤で
ある(ただし、シェード・ドッグと呼ばれる、首をかしげる犬は、ラベルのどこをみてもいない)。