ブラームス●ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
 
モリーニ盤とオイストラフがセル指揮クリーブランド管弦楽団と共演したものをよく聴く。第1楽章の壮大さ、第

2楽章の優美さ、第3楽章のソリストによる技巧の駆使、クライマックスの盛り上がりのどれもがすばらしく、総

合的には私的ランク第1位のヴァイオリン協奏曲である。モリーニの演奏はやや迫力には乏しいが、女性らしい、

愛らしくきめ細やかな演奏で、何度聴いても飽きが来ない。一方、オイストラフ盤は、この協奏曲の壮大なところ

に重点を置いた演奏で、巨匠が入念に仕上げたこの作品に対する深い尊敬の念も強く感じられる。ブラームスの音

楽は、楽器の特徴を熟知している巨匠が、それぞれの個性を十二分に発揮できるように作られた作品が多く、また、

オーケストレーションにおいても楽器がうまく自己主張し合えるように、バランス良く配置されている。ブラー

ムスの円熟の境地(完成したのが、ブラームス45才の時)の作品をクラシック音楽に興味を持ち始めた方は、ま

ず聴かれてはどうだろうか。きっと、クラシック音楽のすばらしさに触れ、生涯の友とのつきあいが始まるにちが

いない。

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