ブルッフ●ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
よく行く名曲喫茶に東京、阿佐ヶ谷のヴィオロンがある。一昨年と昨年の6月と昨年の12月には、約二〇枚の持
参したレコードを開店から午後9時30分頃まで、他のリクエストがない限り、連続してかけていただいた。持参
したレコードは、オリジナル盤等のプレミアム盤なので、すばらしいオーディオ装置によって再生された音はすば
らしく、至福の時を過ごすことができた。中でも、この曲のオイストラフ盤は、本当にすばらしかった。クレモナ
の栄光というアルバムの中で、リッチが名器の聴き比べのための旋律として、この曲の第1楽章冒頭の旋律を使っ
ている。それ程ヴァイオリンを歌わせるには、うってつけの旋律なのである。同じ旋律を15回繰り返すこのオマ
ケ盤も何か得をした気分にさせるし(ただし、日本盤には付いていない)、クレモナの栄光は、いつもヴァイオリ
ンの音色のすばらしさを実感させてくれる。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は、全楽章を通して美しい旋律
にあふれ、ベートーヴェンやブラームスのヴァイオリン協奏曲に比べると短い曲であるが、聴き手をうっとりさせ
る、ヴァイオリニスト憧れの曲なのである。