ブルッフ●スコットランド幻想曲作品46
重々しい雰囲気の旋律で始まるこの曲は、そのもやもやが徐々に晴れていき、やがてとても懐かしい感じのする旋
律に変わる。ハープの音や心にしみるヴァイオリンの音が昔からの友人や故郷の風景を思い出させ、しんみりとし
た気持ちにさせる。そして、感動で胸が熱くなって、深く聴きいってしまう。愛聴盤は、カンポーリがボールト指
揮ロンドン・フィルと共演したもの。デッカのレコードで聴くと、カンポーリの繊細なヴァイオリンが、心地良く
響いて、深い感動をもたらす。また、ボールトの控えめな伴奏は、カンポーリを引き立たせるのに貢献している。
私が、この曲を知ったのはチョー・リャンリンのCDであるが、一緒に入っていたブルッフのヴァイオリン協奏曲
第一番の方に興味があったのだが、一緒に聴くうちにこの曲の方が好きになったという経緯がある。他に、ハイフ
ェッツの二つのレコード(W・スタインバーグ指揮RCAビクター交響楽団と共演した旧盤、サージェント指揮ロ
ンドン新交響楽団と共演した新盤)も共にすばらしい演奏であると思う。今から10年程前、渋谷の名曲喫茶ライ
オンで、ハイフェッツの旧盤をリクエストして、聴いていて目頭が熱くなったことを覚えている。