ハイドン●チェロ協奏曲第2番ニ長調
ハイドンのチェロ協奏曲は、1960年代になって発見された第1番と、第2番が有名であるが、どちらも愛らし
い端正な曲である。ただ、演奏されるのは、第2番の方が多いようだ。デュ=プレの名演もあるが、やはり優美で
気品のある、フルニエがバウムガルトナー指揮ルツェルン音楽祭弦楽合奏団と共演したものが優れている。オーケ
ストラが、落ち着いた音で背景をしっかりと描き、フルニエが、中心となる人物や景色の詳細を繊細なタッチで描
いている。時代が少し遡るが、ロココ時代の絵画を音で表現したようだ。ルドルフ・バウムガルトナーは、ルツェ
ルン音楽院の学長であり、ルツェルン音楽祭に深く係わっていたため、音楽祭のために結成されたルツェルン音楽
祭弦楽合奏団と多くの作品を残している。バッハの管弦楽組曲、ブランデンブルク協奏曲、ヘンデルの水上の音楽、
ヴィヴァルディの四季等のバロック音楽が、特にすばらしいが、モーツァルトの演奏にも定評がある。ブランデ
ンブルク協奏曲の旧盤を折に触れ聴いているが、一糸の乱れもなく統率されたオーケストラは、均整の取れたバロ
ック音楽を美しく再現している。フルニエは、私が最も好きなチェリストで、非常に多くの名演を残している。