メンデルスゾーン●ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
オイストラフ、ミルシテイン、フランチェスカッティ、エルマン、カンポーリ他、様々な演奏を聴いてきたが、私
は、カンポーリの演奏が好きだ。演奏もすばらしいが、デッカ盤で音が良いので聴き飽きることがない。弓が弦に
少し触れた時に鳴る繊細な音や残音が美しく響き、デッカの録音技術のすばらしさに感心させられる。そんなデッ
カの名録音の一つと固く信じているのが、リッチのパガニーニ小品集である。本当に、ここで鳴るヴァイオリンは
実際の音より耳に刺激的である。もちろん、リッチの超絶技巧があってこそ、レコードが出来たのであるが、録音
技術により、さらに繊細な音を再生することを可能にしている。ミスの全くない、好ましい音量の、テクニックを
駆使した演奏を特等席で聴くことが出来る。これが、レコードを聴く楽しみであるが、デッカの水準の高い録音は、
その期待に充分応えてくれる(私が、ここで言う、デッカ盤はラージ・デッカ、スモール・デッカに代表される、
音の良い、英国盤で、同じ内容であっても、製造された国やレコード会社が異なれば、著しく音質が変わるので
要注意)。