モーツァルト●ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
モーツァルトのピアノ協奏曲は、27曲あるが、演奏の頻度が高いのは、第9番と第20番から第27番までの
9曲であろう。さらに頻度が高いのは、愛らしい第2楽章の第20番、最も充実している第21番、少し短いがモ
ーツァルトらしさがたんのうできる第23番、深い陰影があるがとても美しい第24番、そしてモーツァルトの天
国的調べがちりばめられた第27番である。モーツァルトのピアノ協奏曲の名演は、やはりグルダがアバド指揮ウ
ィーン・フィルと共演したものが一番であろう。第20番、第21番、第25番、第27番の4曲があるが、どれ
もすばらしい演奏である。アバド指揮ウィーン・フィルの伴奏は、ミルシテインとの共演(メンデルスゾーン、チ
ャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲)と同様に、美しい弦楽器の音を押し出したもので、グルダのピアノの音を
より際立たせている。グルダは、先頃、亡くなったが、アバド指揮ウィーン・フィルの伴奏で他のモーツァルトの
ピアノ協奏曲も録音してほしかった。他に、グルダは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集やピアノ協奏曲全集
の名演で有名で、熱情ソナタや田園ソナタは、優れた演奏であると思う。