モーツァルト●管楽器のための協奏交響曲変ホ長調K297b
この曲は、モーツァルト自身の作ではないと言われている曲である。自筆稿が残っていないこととソロのパートを
他人が勝手に書き換えた可能性から疑われているが、この曲も、ソリストのアンサンブルがすばらしく、本当にニ
セモノなのだろうかと思ってしまう。フルート、オーボエ、ホルン、ファゴットが、時に独奏で、時にソロ楽器が
からみあって、時に温かく包み込むようなオーケストラと協調し合って、極めて美しい音楽を作り出す。長らく、
マリナー盤(CD)でこの曲を聴いていた。マリナーは、ポストホルン・セレナード、グランパルティータ、ハフ
ナー・セレナード等、モーツアルトの管弦楽作品に名演を残している。今の愛聴盤は、ベームが、ウィーン・フィ
ルを指揮したもの。ハープとフルートの横にバラが活けられた花瓶が置かれているジャケットは、グラモフォンの
レコードの中で、最も美しいジャケットの一つだと思う。内容も、もちろんすばらしく、第2楽章などは、まさし
く天上の調べ。第3楽章の後半は、ソロ楽器同士が、まさに協奏しあって、美しい音楽を奏でる。