モーツァルト●2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネハ長調K190
最近、お茶の水のディスク・ユニオンで、面白そうなレコードだなと思い。購入した。演奏は、指揮とヴァイオリ
ン・ソロがクレーメル、もう一人のヴァイオリン・ソロがグリンデンコで、オーケストラは、ウィーン交響楽団と
なっている。非常に正確かつ引き締まった演奏で、2台のヴァイオリンの息もぴったりと合っていて、美しい。モ
ーツァルト18才の時の作品で、この約1年後から、第1番から第5番のヴァイオリン協奏曲を次々と発表してい
る。クレーメルは、協奏曲、ソナタ、小品、室内楽曲とあらゆる演奏形態で活躍しているが、私は、メロディアか
ら発売されている小品集「ロマンティック・リサイタル」に収録されている、チェコの作曲家フィビヒの「詩曲」
が、最も好きである。愛らしいが、深い感動をもたらすこの小曲を、クレーメルは、実にあっさりと演奏している
が、それがかえって、旋律の美しさを際立たせる。あるゆる曲を演奏し曲の聴かせどころを心得ている彼だからこ
そできるのであろう。クレーメルを知ったのは、約20年前に、FM番組で彼の新譜を紹介されたのを聴いてから
だ。超絶技巧の小品を集めたもので、「庭の千草」による変奏曲などは本当にすばらしい演奏だったが、未だ手に
していない。