モーツァルト●フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299
私が、クラシック音楽を、腰をすえて聴くようになったのが、19才になってからだが、その後8年程は、モーツ
ァルトの音楽をほとんど聴くことがなかった。初期のディヴェルティメント、音楽の冗談、貴族社会を描いたオペ
ラ等、当時の自分自身の生活と著しく乖離していたため、遠ざけていたような気がする。しかし、この曲のランパ
ルとラスキーヌがパイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団と共演したものを聴き、そのあまりの美しさに、モーツ
ァルトの音楽にのめり込むようになった。ハープという楽器は、中学生の時にヘンデルのハープ協奏曲を聴いて
以来、好きな楽器であり、フルートもその柔らかく温かい音色が好きなので、美しく感じたのかもしれない。一時
期よく聴いていた、ランパル、ラスキーヌ盤も今はほとんど聴かない。音のいいレコードが、手に入らないからだ。
その後、ウェストミンスター盤(ラスキーヌ、ボーディン、シェルヘン共演)を聴いていたが、最近、よく聴くの
は、グラーフが、フルートのソロと指揮、ホリガーが、ハープのソロ、オーケストラは、ローザンヌ室内管弦楽団
のレコード。こぢんまりした感じの渋い演奏であるが、曲自体が、輝かしく歌に満ちているので、何度も聴くのに
はちょうどよいのかもしれない。