ロドリーゴ●ある貴紳のための幻想曲
 
この曲は、作曲家ロドリーゴが、すでにギター奏者として不動の地位にあったセゴビアのために献呈した曲である。

セゴビアは、カザルスと共にスペイン出身の大家であるが、二人の共演はないようだ。共にバッハの作品をよく

演奏したので、小品を共演のために編曲して、レコードを残してほしかった。もちろん、カザルスはフランコ政権

に反対して、スペインを離れてしまったので、二人の大家は、その後会う機会もなかったのかもしれない。セゴビ

アは、この献呈された曲を、自ら1958年に録音しているが、残念ながら、まだ聴いていない。愛聴盤は、アン

ヘル・ロメロがアレッサンドロ指揮サン・アントニオ交響楽団と共演したもの。その後、アンヘル・ロメロは、プ

レヴィンと同じ曲を入れているが、素朴な曲なので、ロンドン交響楽団の洗練された音は、合わないような気がす

る。アンヘル・ロメロの繊細なギターが、スペインの香りのする伴奏を得て、自由に優しく奏でられ、私たちを幻

想の世界に誘ってくれるから、何度でも聴きたくなるのである。プレヴィンと共演した時のアンヘル・ロメロは、

立派なオーケストラの前で、自分の音楽が充分にできなかったような気がする。

   

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