シューマン●ピアノ協奏曲イ短調作品54
一時期、リパッティ盤を毎日、聴いていたことがある。管弦楽付きのピアノの小品として、第1楽章のところだけ
を作曲したシューマンに、妻であり、一流のピアニストであったクララ・シューマンが、ピアノ協奏曲に仕上げな
さいとせっついて出来たのが、この協奏曲であると、FM放送で聞いたことがある。クララ・シューマンのおかげ
で、今日このすばらしい曲が聴けるのだが、私が好きなのは、最初に出来た第1楽章よりも終楽章の方である。シ
ューマンは、ショパンを世に紹介したり、ブラームスを支援したりして、クラシック音楽に対する貢献は、彼が作
った作品以外にも多くある。他に、メンデルスゾーンと親交があったり、シューベルトの音楽を紹介したりと、言
わば、19世紀中ごろのヨーロッパ音楽の中心的存在だったと言えるのではないだろうか。シューマンは、過労が
もとで、精神疾患を患い、ライン川に身を投じ、その後、収容先で亡くなるのだが、今でも、彼のじりじり心を焼
くような、熱情的な音楽は、私たちの心に大きな感動を呼び起こすのである。