シベリウス●ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
 
一昨年の12月、ボーナスが出たので、急いで、神戸の中古レコード店らるごに出かけた。らるごでは、夏と冬に

セールがあり、マニア必聴の名盤が、多数販売される。店主の阪口昭夫さんと楽しい会話をしながら、レコードを

物色し始めると、その中に伝説の名盤と呼ばれる、ヌヴー盤があったのだ。1945年の録音と言われるが、ノイ

ズも少なく、手の届く価格だったので、すぐに購入した。装飾音をたくさん付けた演奏は少し食傷気味になるが、

一つの名演としてよく聴く。この曲には、もう一つ愛聴盤がある。オイストラフがオーマンディ指揮フィラデル

フィア管弦楽団と共演したものである。オイストラフは、他に、メロディアやEMIからもこの曲のレコードを出

しているが、オーマンディとの共演にあるような熱気が感じられない。フィンランディアにあるような、国家を愛

し、士気を発揚させるような側面をこの曲も持っていると思うので、フィンランドの自然描写だけで終わるような

演奏は少し物足りない気がする。作曲家の意図を演奏に反映することが、名演の第一歩であると考える。

 

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