本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。

今回は、「フルトヴェングラーのベートーヴェン」ということで、フルトヴェングラーがウィーン・フィルとベルリン・フィルを指揮したベートーヴェンの演奏をたっぷりと楽しんでいただこうと思います。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは、1886年にベルリンに生まれました。1906年カイム管弦楽団を指揮してデビュー。1922年ニキシュの死後、後任としてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団楽長、ベルリン・フィル常任指揮者に就任します。1927年には、ワインガルトナーの後任として、ウィーン・フィルの常任指揮者になります。その後第二次世界大戦をはさんで、1954年に亡くなるまでウィーン・フィル、ベルリン・フィルなどを指揮して多くの名演を残しました。本日はフルトヴェングラーがウィーン・フィル、ベルリン・フィルを指揮した歴史的名演をお聴きいただきます。

まずお聴きいただくのは、フルトヴェングラーがウィーン・フィルを指揮したベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」です。フルトヴェングラーの英雄では、ウラニアというレコード会社が1944年に録音された放送録音を東ドイツから買い取って1953年に発売したレコード「ウラニアのエロイカ」が有名ですが、本日お聴きいただくレコードも晩年のフルトヴェングラーの演奏の中で最もすぐれたもののひとつと言えます。演奏時間は約52分です。

ここで少し休憩をいただきます。

次にお聴きいただくのは、フルトヴェングラーが第二次世界大戦後、はじめてベルリン・フィルを指揮した「運命」と「エグモント序曲」です。フルトヴェングラーは戦後、敗戦国の指揮者として苦しい立場に追いやられます。そのため、約2年間実質的な演奏活動はできませんでした。また、ル−ビンシュタイン、ハイフェッツ、ホロヴィッツなどのユダヤ人の演奏家から共演を固辞され、1948年のシカゴ交響楽団への就任ができなくなりました。また1952年には肺炎の治療で服用した薬により難聴になったりします。しかし彼はそういった苦難にもかかわらず、EMIやグラモフォンに名録音を残し、復帰後初めての演奏会やバイロイト音楽祭で歴史的な名演を残します。この「運命」と「エグモント序曲」は復帰後初めての演奏会のもので、それにふさわしい力のこもった名演になっています。本日お聴きいただくレコードのレーベルがエテルナとなっていますが、音源はグラモフォンと同じものです。2曲続けてお聴きいただきます。演奏時間は約41分です。

ここで少し休憩をいただきます。

プログラム最後の曲は、第二次世界大戦中にフルトヴェングラーがベルリン・フィルを指揮したライブ録音でベートーヴェンの交響曲第7番をお聴きいただきます。どの楽章もフルトヴェングラー独自の解釈がありますが、特に終楽章の迫力には圧倒されます。「舞踏の権化」というのはこういうことかと思われるのではないでしょうか。演奏時間は約38分です。

本日もアンコール曲を用意しました。フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルで、ワグナーの歌劇「タンホイザー」序曲です。演奏時間は約14分です。

本日は、長い時間レコードコンサートにおつき合いいただき、ありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願い致します。また、プログラムの一番下にありますように、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。