本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「ズービン・メータ指揮ロサンゼルス・フィルの名演」ということで、メータがロサンゼルス・フィルを指揮したR.シュトラウスとホルストの作品の演奏をたっぷりと楽しんでいただこうと思います。
ズービン・メータは、1934年インドのボンベイに生まれました。父親も指揮者であったため、10代の頃から指揮棒を持つことが許されました(インドはカースト制度があり、職業選択は困難)。1959年リヴァプールの国際指揮者コンクールで第1位を獲得し、1960年にはモントリオール交響楽団の常任指揮者になります。その後ロサンゼルス・フィルに招かれて指揮をするようになり、音楽監督兼指揮者になります。1962年から1978年までが、在任期間ですが、シェーンベルクの「浄められた夜」とスクリャービンの「法悦の詩」がカップリングされたレコードが出された1968年頃からの約10年間が最もすぐれた演奏をしていた時期であると思います。
メータ指揮ロサンゼルス・フィルの魅力は大編成のオーケストラから出される迫力のあるサウンドですが、美しい旋律のところでは歌に満ち、心にしみる演奏も随所に見られます。そして何より、彼らの力になったのは、DECCA社の技術陣による優秀な録音です。本日お聞きいただく3曲とも、アナログ録音の優秀さを競っていた1960年代後半から1970年代にかけてそれぞれの曲の優秀録音に取り上げられていた曲ですが、先程も申し上げましたようにメータ指揮ロサンゼルス・フィルの演奏は単に録音が優秀と言うだけでなく、歌に満ちた心にしみる演奏になっています。
最初にお聴きいただくのは、R.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」です。映画「2001年宇宙の旅」で冒頭の部分が使用され、有名になりましたが、私は全曲にわたって魅力ある曲であると思います。それではメータ指揮ロサンゼルス・フィルの演奏でじっくりとお聴き下さい。演奏時間は約33分です。
ここで少し休憩をいただきます。
次にお聴きいただくのは、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」です。私は山登りも趣味で、今年の夏も穂高連峰にある大キレットや涸沢岳のあたりを縦走して来ました。この曲は、雄大な自然を音楽で表現したものとしては最高の作品であると思います。実際私が雄大な穂高の山々に対峙した時には、少し高山病にかかっていたこともあり、頭の中で「アルプス交響曲」の旋律が鳴っていました。演奏時間は約48分です。
先程も言いましたように私は山登りをするのですが、この曲を聴き始めた頃は山登りをしていませんでした。その頃は前半から中頃までこの曲は盛り上がるのになぜこの曲の後半は盛り上がりに欠け、最後は消え入るようなかたちで終わるのだろうと思ったものでした。でも、山登りをするようになって気付いたのです。意気揚々と登った登山もピークを極め、達成感を感じた後は、重い足をひきずり、痛い膝を我慢して下山する。時には雨にもあう。そういったところがよく描けていると思い、改めてこの曲が好きになったのでした。
ここで少し休憩をいただきます。
プログラム最後の曲は、ホルストの組曲「惑星」です。私がクラシック音楽を
じっくりと聴くようになったのは、高校を卒業してからですが、高校の頃に冨田勲氏のシンセサイザーによる編曲のレコードが流行り、「展覧会の絵」と共に興味を持ったものでした。私としては、冨田さんに「アルプス交響曲」あたりをアレンジしてもらえたらなあと思うのですが。それはさておき、組曲「惑星」は当時太陽系の惑星として発見されていた7つの惑星(冥王星はその頃は発見されていなかった)についてそれぞれの星の占星術のイメージをもとに作曲されています。それぞれ惑星にサブタイトルがつけられていますので、ご紹介させていただきます。火星は戦争の神、金星は平和の神、水星は翼をもった使いの神、木星は快楽の神、土星は老年の神、天王星は魔法の神。海王星は神秘の神となっています。メータ指揮ロサンゼルス・フィルの演奏でお聴き下さい。演奏時間は約50分です。
本日もアンコール曲を用意しました。年末ですので、第九を用意しました。演奏はこの曲の定番レコードと言われる、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団、独唱はシュヴァルツコップ他でお送り致します。時間の都合で、第4楽章のみお聴きいただきます。
本日は、長い時間レコードコンサートにおつき合いいただき、ありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願い致します。また、プログラムの一番下にありますように、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。