本日は、お忙しい中、レコードコンサートにご来場いただきありがとうございます。このレコードコンサートは、ヴィオロンのすばらしいオーディオ装置で私の愛聴盤をお聴きいただくもので、お聴きいただくレコードもなるべくオリジナルに近い音の良いものを選んでいますので、ハード、ソフト共に優れた音楽を心行くまでお楽しみ下さい。なお、コンサートと言いましても一般の営業と変わりませんので、くつろいでお聴き下さい。
今回は、「ヘルベルト・フォン・カラヤンのブラームス」ということでカラヤンの名演奏をたっぷりと楽しんでいただこうと思います。
ヘルベルト・フォン・カラヤンは、1908年にオーストリアのザルツブルグに生まれました。4才からピアノを学び、1916年からはモーツァルテウム音楽院でピアノ、和声学、作曲などを学びます。カラヤンが本格的に指揮者を志したのは指の障害でピアニストを断念してからになります。音楽アカデミーで指揮を学び始めたのは1926年からで、聴衆の前で始めて指揮をしたのはこの学校での演奏会で、「ウィリアム・テル」序曲を指揮したと言われています。正式なデヴュ−は1929年でモーツァルテウム管弦楽団を指揮し、チャイコフスキー交響曲第5番などを指揮しました。その後同年に「フィガロの結婚」を指揮してオペラ・デヴュ−。1933年にはザルツブルグ音楽祭に初出演。翌年にはウィーン・フィルを指揮します。1938年にはベルリン・フィルを始めて指揮、主にフィルハーモニア管弦楽団を指揮した時代を経て、主にベルリン・フィルを指揮した時代へと移って行きます。フィルハーモニア管弦楽団の時代には、リパッティやブレインと共演して名演を残しています。

本日は、カラヤンがベルリン・フィルとウィーン・フィルを指揮した演奏をお聴きいただきますが、私個人の感想を述べさせていただきますと膨大なレコードを残しているのに名演が少ない指揮者と思います。安定して長きに渡り、同一楽団を中心に指揮し刺激が少なかったからなのでしょうか、ハングリー精神がなかったからなのでしょうか。私は長い付き合いのためベルリン・フィルの楽団員とカラヤンとの間で緊張感が失われた結果、カラヤンの考える音楽が充分にできなくなったような気がしてならないのですが、皆様はいかがお考えでしょうか。ただ本日お聴きいただく、ブラームスの交響曲第2番とウィーン・フィルを指揮したドイツ・レクイエムは超名演奏ですので、お楽しみいただけると考えています。

お話しが長くなってしまいました。まずハンガリー舞曲をお聴きいただきます。
この曲はブラームスのオリジナルではなく、ピアノ連弾用でまずこの曲(全21曲)が出版され後にオーケストラ用に編曲されました。そのため作品番号は付いていません。なじみやすいメロディーがたくさんあり、他の作曲家も編曲を行い多くのクラシックファンに愛好されている曲と言えると思います。カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏で、そのうち8曲をお聴きいただきます。演奏時間は約20分です。

次にお聴きいただくのは、ブラームスの交響曲第2番です。この曲は牧歌的なメロディーが随所に出て来る美しい曲です。またフィナーレの高揚感もこの曲の聴きどころと言えると思います。カラヤンはこのあたりのところを自然に歌心をもって聞かせてくれます。演奏はベルリン・フィル。演奏時間は約41分です。

ここで少し休憩をいただきます。

後半はドイツ・レクイエムをお聞きいただきますが、カラヤンはこの曲を計4回(ビデオなどを合わせると7回)録音しています。最初と最後がウィーン・フィルで中2回はベルリン・フィルです。先程も申しましたようにカラヤンは膨大な録音を残しており、重複して何度か録音する曲もたくさんありました。例えばチャイコフスキーの悲愴交響曲は7回録音しています。ドイツ・レクイエムはクレンペラーがフィルハ−モニア管弦楽団を指揮した名盤がありますが、オーケストラの旨さからするとウィーン・フィルに軍配を上げざるをえないというところでしょうか。ドイツ・レクイエムは声楽の分野においても大きな功績を残したブラームスの若き日の出世作で、私自身の感想を言わせていただくと、よくピアノ協奏曲第2番がピアノ入りの交響曲だと言われますが、この曲は歌入りの交響曲だと言えそうな気もするのですが。重厚なオーケストラを背景に合唱が入り、第3、5、6楽章は独唱も入ります。私は以前から第1楽章、第2楽章、第4楽章が好きだったのですが、この演奏を聴くようになってすべての楽章が好きになりました。この曲の極め付けの演奏と言えるのではないのでしょうか。以前からこのSPレコードの名盤をLPレコードで聴けないかと探していたのですが、1940年代後半にカラヤンがウィーン・フィルを指揮した6枚組のLPレコードを手に入れることができました。それではカラヤン指揮ウィーン・フィル及びウィーン学友協会合唱団、独唱は、ソプラノのエリザベート・シュワルツコップ、バリトンのハンス・ホッターの演奏でお聴きいただきます。演奏時間は約74分です。

本日もアンコール曲を用意しました。私がクラシック音楽を聴き始めた頃は、本日お聴きいただいたカラヤンとベームの時代でした。ベームは当初そのよさがわかりませんでしたが、後に好きな指揮者のひとりとなりました。本日はそのきっかけとなったレコードをお聴きいただきます。ベートーヴェンの田園交響曲です。本日は時間の都合で後半の第3、4、5楽章をお聴きいただきます。演奏はカール・ベーム指揮ウィーン・フィル。演奏時間は約19分です。

本日は、長い時間レコードコンサートにおつき合いいただき、ありがとうございました。今後とも、このレコードコンサートをご愛顧いただきますよう、よろしくお願い致します。また、プログラムの一番下にありますように、私のホームページも是非ご覧下さい。よろしくお願いします。